RESET Viral Index - 空気中のウイルス感染から居住者を守るために

チャレンジ

身の回りの建造環境は私たちの生活に必要不可欠な全ての場を支えています。住宅、オフィス、店舗などの建物から、バス、電車、自動車などのインフラ、更にはオープンスペースやその場の人々の交流までをも支えているのです。

都市の高密度化に伴い、建造環境の役割、そしてその環境が人間の健康や福祉に与える影響はますます大きくなっています。本来であれば建物とその周辺環境は、最低限の汚染、十分な照明と暖房、安全な飲料水、十分な新鮮な空気の供給などの健康的な条件を提供することが理想的です。これらのうち、特に後者の要因は人間の心身の健康に影響を与える最も重要な要因の一つなのです。

残念ながらこの理想的とも言える環境の実現は難しく、世界中の多くの家庭やビルでは外気の状態が悪いため、自然換気の代わりに機械式の暖房・換気・空調(HVAC)システムを導入し室内空気質(IAQ)の改善を図っています。これらのシステムによって室内環境を制御し、湿気、臭気、煙、熱、ほこり、空気中の細菌、CO2などの汚染物質の除去を行なっています。

これら汚染物質の一つに「粒子状物質」(PM)があり、特によく知られているのがPM2.5です。PM2.5は空気の状態によってはしばらく空気中に滞留し、人間の肺の奥深くにまで入り込むことさえあります。さらに、粒子状物質の量と室内の相対湿度・温度の要因は、建物内で起きるウイルスの空気中感染の可能性と相関関係があることが研究結果で明らかになっています。幸いにもこの指標となるパラメータは大概の場合、建物管理者によってリアルタイムで管理されています。したがって、これらのパラメータに関する理解をより深めることで、建物の室内環境の改善に向けたモニタリング、そして制御することへの取り組みを改革して行くことが出来ます。そして、昨今世界的に流行した新型コロナウイルス感染症との戦いから得た教訓こそ、室内環境水準の向上に役立てて行けるでしょう。

私たちの計画

私たちは生活の90%を屋内で過ごしていると言われており、特に最近では新型コロナウイルスが室内環境でどれほどの感染力を持っているのか気になる人が増えています。しかし、感染力の実態を数値化する手段は今のところありません。感染症の流行が始まって以来、業界では建物の運用に関する包括的な指導が次々と行われて来ましたが、同時にビル管理者の意思決定をサポートする実証的な証拠が圧倒的に不足している現状も明らかになって来ました。
私たちは、環境に配慮した健康的な建物のための持続可能な解決策を提供してきた国際的エンジニアリングコンサルタントとして、空気中のウィルス感染の可能性を知ることがいかに重要であるかを理解しています。今後もお客様の室内環境をサポートし、アドバイスするために、「世界初のセンサーを用いたパフォーマンス重視のビル運営データ標準」であるRESET社と提携しました。RESET社の「空気感染の可能性に関する指標」は科学的研究と実情を標準化された有効な方法で組み合わせることで、これまで活用されて来なかったモニタリングデータを駆使した感染予防規約の改善を図る取り組みです。これらの指標を用いることで空気感染の可能性を最小限に抑えるための建物の能力を、様々なパラメータを用いてリアルタイムに評価することが可能です。この指標は、PM2.5レベル、温度、湿度、CO2データなど、建物が管理・測定できるパラメータで構成されています。

RESET社のViral Indexは、感染リスクを抑える最適な室内空間の条件を明らかにする手引きを用いて、ビル管理者が感染症流行の状況下でも円滑に運用して行けるようにサポートします。

プロジェクトのパフォーマンスデータをリアルタイムに収集・整理・分析するリアルタイム統合ビル管理プラットフォーム「BEE Sense」を通じ、次の4点の項目をモニタリングすることでビル運営をサポートします。

  • RESETのViral Indexによる室内の健康と福祉のリスク
  • 室内環境品質(IEQ)パフォーマンス
  • エネルギー、水、およびGHGパフォーマンス
  • ESG関連のパラメータ

BEE SenseはRESET Standardsを統合しているので、ビル管理者と直接連携しRESET Viral Indexを決定することが可能です。

RESETのViral IndexがBEE Senseに統合されていることで、ビルの管理者は迅速かつ効果的に修復を実行し、利用者らが経験し得る被害を未然に防ぐことが可能です。

RESETはこれまで歩んできた歴史と経験に誇りと自信を持っています。世界で最初に認められたIAQ業界標準として、そして建築環境の定量的なパフォーマンスデータを強みに、モニタリングシステムを用いた最適な展開とデータ収集に取り組んで行きます。

大規模な調査から得た結果をマッピングしたRESET Viral Indexは、4つの部門で構成されています。

  • ウィルスの生存率
  • 免疫機能の健康状態
  • PM2.5の健康被害
  • 接触し得るウイルス量

具体的な調査結果は以下の通りです。

  • ウイルスの生存率は、相対湿度と温度に影響されます。湿度が人間の快適ゾーン(湿度40~60%レベル)に保たれていると、ウイルスの生存率(つまり感染率)が劇的に低下するという研究結果があります。
  • 私たちの免疫機能は、湿度と温度にも影響を受けます。最適な免疫機能は、湿度が45~60%の間で発揮されます。
  • PM2.5は空気中に長時間浮遊します。PM2.5が浮遊することで空気感染によるウイルス感染の可能性が高まり、人間の健康に影響を与えます。PM2.5の濃度が高くなればなるほど、インフルエンザのような病気にかかりやすくなります。
  • 接触し得るウイルス量は、居住者が吸い込む可能性のあるウイルス粒子の量を測定することで、感染の可能性を算出します。感染に必要なウイルス粒子の吸入数に当たるリスクは、CO2濃度の増加に伴い直線的に増加します。

Thresholds in BEE Sense:

LabelsIndex
Excellent85 - 100
Good70 - <85
Moderate55 - <70
Sensitive40 - <55
Impaired20 - <40
Unhealthy0 - <20

これらをまとめると、次のことがわかります。

ビルの管理者は、リアルタイムのIAQモニタリングデータとRESET Viral Indexを使用して、絶えず変化する室内環境を最適な状態にすることができます。また、当社のコンサルタントとの提携することで管理者は建物の利用者が最適な室内空間にいることを確信することができます。

この不確実な時代だからこそ、私たちの心身の健康をサポートすることに意味があります。全体的な空気環境のモニタリングプログラムは、室内環境が私たちの心と身体の健康にとってプラスであることを確実にするために必要不可欠です。ビルの管理者は、BEE SenseとRESET Viral Indexを使用することで、建物の利用者への感染とその後のリスクをより適切に管理することができます。